公共施設をリノベーションし、外国人観光客向けの宿泊施設としてオープンした「柴又フーテン」(柴又7-12‐19、旧職員寮)であるが、実際は外国人技能実習生の研修室になっていることがわかり、3月議会で取り上げて、7月の総務委員会で正式に報告がされた。その後、情報公開請求で資料を取り寄せたところ、区が運営会社Rプロジェクトから事前に相談を受けていたこと、外国人技能実習生の研修センターとして活用し、実習生の住まいとし住民登録をしていることなどがわかった。相談を受けた区の庁内での協議では「撤退されずに済んだことは良かった」と言っているように了解していることがわかる。
「柴又フーテン」の出発点は、外国人観光客の宿泊施設である。同じ外国人でも技能実習生は観光客ではない。Rプロジェクトも実習生を受け入れている㈱ワールディングも「契約形態にこだわらない」「契約形態は問題ない」と主張し、今年6月16日には、Rプロジェクトから「転貸借が可能か」と問われ、さすがに区は「認めない」「転貸借するくらいであれば、他事業者と契約を締結する」と回答している。
ならばそうしてはどうか。何故なら今現在、観光客が予約をして宿泊できる状態ではなく、㈱ワールディングの団体貸し切りの名での研修センターになっているからだ。団体貸し切りの宿泊客と言いたいのだろうが、相手は「研修センターを新設」と堂々と公表しており、事実上の転貸借と言えるのではないか。
Rプロジェクトのホームページにも宿泊施設の運営一覧に「柴又フーテン」の記載はない。宿泊施設として予約等ができないからだ。宿泊施設として経営上成り立たないのであれば、区営住宅として区が管理運営する住まいとして、外国人であろうが日本人であろうが、所定の手続きで住んでもらえばいいのではないか。
区が7月に議会報告したのは、「技能実習生を長期宿泊客として受け入れているという事実は、契約書上は違反はないが転貸借しているように見られる」からが理由になっている。「見られる」のではなく、目的外の活用だ。外国人技能実習生は、知識や技術を身につけて母国へ帰って頑張るために来日している。観光する時間が絶対ないとは言えないが、観光客ではない。区は、元に戻すよう協議していると言っているが、「契約書上は違反はない」という立場に立っていたら、相手のいいなりになってしまうのではないか。本来の外国人観光客の宿泊施設という目的に沿わない公共施設の活用はやめるべきだ。