子ども達からの月謝を使い高額接待を繰り返し、その結果債務超過に陥り、なおかつ秘密裡に事業譲渡していたことから、葛飾区は、昨年12月27日にバルサアカデミー葛飾校(サッカースクール、以下バルサスクール)の運営者である一般財団法人キッズチャレンジ未来(以下、キッズチャレンジ)と本年3月31日で協定の終了を合意した。この協定内容は、バルサスクールの運営、そのためのグラウンド確保、地域貢献事業、区との窓口である。
譲渡の相手先は株式会社アメージングスポーツラボジャパン(アメージング)だが、区は協定違反にはあたらないとしている。しかし、事業譲渡は2022年度(R4年度)に行われており、バルサスクールの運営者は事実上、23年度からアメージングになっていることから、すでに2年前から協定なしで営利企業がグラウンドを優先利用しバルサスクールを運営していることになる。そしてアメージングとキッズチャレンジは3月31日ですべての契約を終了したとの報告があった。
4月1日から協定は存在しないのだが、すでに2年前から協定なしで事業がおこなわれており、区は協定違反に当たらず問題ないという立場に立っているため、今現在もグラウンドの優先利用が続いている。
グラウンドの優先利用は、営利企業であるアメージングの要求ではないのか。今までの経過を区は問題ないという立場だから、アメージングによるグラウンドの優先利用の要求をのまざるを得ない状況に追い込まれていると思われる。
現在、グラウンドの優先利用は、協定なしで、「教育委員会が必要と認めた場合」という事で「1か月ごと」に許可するとしている。しかし、この「1か月」は見せかけの「1か月」で、実際には6月までグラウンドは確保されており、他の団体は申請することはできない。アメージングの要求をのむためには、区民、議会、他のスポーツ団体に「1か月ごとだから」とだますことまでやっている。まさに営利企業の下請けだ。
区とキッズチャレンジの協定終了は、バルサスクールの運営を含む協定の終了であり、譲渡先であり運営者であるアメージングも含まれる。きっぱりと関係をたちきれば、昨年12月27日の協定終了から3か月間で滞りなく事業を終了させることができた。今日、何の根拠もなく営利企業にグラウンドの優先利用をさせているのは、やはり区の姿勢にこそ問題あると言わなければならない。
キッズチャレンジは、アメージングに事業譲渡をしたが、その譲渡額は当初4900万円と思い込んでいたが、アメージングから提供された譲渡契約書では、「残額は支払わない」となっていることがわかり、4900万円以上となっているようだ。総額いくらなのかは「精査中」、グラウンドの確保のための委託料はいくからか、これも「精査中」。金額は精査しても変えることはできないのに「精査中」とは、時間稼ぎとしかいえない。アメージングの要求に応えるための理屈づくりの時間稼ぎではないのか。
なぜアメージングは、譲渡金額の全額を払わなかったのか。残金は、何に対する対価として残していたのか。契約書に記載されていると思われる。
月謝を使っての高額接待、事業譲渡の真の目的、キッズチャレンジを設立した経緯などの解明が必要だ。同時に同じことを繰り返さないためにも、グラウンドや管理棟など特定団体への特別扱いをやめる、協定や契約に対する区の姿勢を質すことも必要だ。議会は百条員会、行政は第三者委員会で徹底解明すべきだ。