およそ10年前から始まったFCバルセロナを冠したサッカースクール「バルサアカデミー葛飾校」。約400人の子どもたちが通っているものの、葛飾区民は3割にとどまっている。党区議団は、当初から特定団体へのグラウンドの優先利用や管理棟の独占使用には一貫して反対してきた。そして今、議会のたびにマスコミも傍聴にくるなど深刻な事態が生まれている。
葛飾における「バルサ事業」は、一般財団法人キッズチャレンジ未来(キッズチャレンジ)が運営主体となっており、青木区長は密接に関わっている。しかし、その経営実態は毎年赤字であり、累積赤字は7330万円にもなっている。一方、毎年、高額接待費が支出され、累計で3600万円超えの接待費となっている。子どもたちから集めた月謝を裏で高額接待に回していたのは誰なのか、どんな接待をしていたの、あいまいにすべきではない。キッズチャレンジの理事、評議員、事業立ち上げ関わってきた区職員からも聞き取りをし、区長は説明責任を果たすべきだ。
バルサ事業の全国展開を一手に引き受けているのが株式会社アメージングスポーツラボジャパン(アメージング)という企業だが、キッズチャレンジは、2023年度にアメージングに4900万円で、この「バルサ事業」を事業譲渡している。なぜ譲渡したのか、赤字事業をなぜ買ったのか、4900万円は何に使ったのか、全く明らかにされていない。アメージングは譲渡契約書の提出を拒む理由に「FCバルセロナそのもののブランド価値、及び本事業の価値棄損を招く可能性がある」と述べている。
全国展開しているアメージングが買ったのに価値が棄損されるはずがない。別の目的がある。たとえば「バルサ事業」で利益を上げ、その裏舞台の一つが高額接待。どんな接待なのかを知っているキッズチャレンジが口外したら確かに価値が棄損されることになるだろう。
真相は明らかになっていないが、債務超過と事業譲渡を理由に、区はキッズチャレンジとの協定を3月末をもって終了することで昨年12月27日に合意した。書面上はキッズチャレンジと区の2者であるが、実は、キッズチャレンジは、区との協議もせず、勝手にアメージングと共同運営に変更している。そして区は、この変更や事業譲渡も協定違反ではないとし、抗議一つしていない。
この経過からも、今回の協定終了の合意は、書面ではキッズチャレンジと区の2者であっても、実際には、アメージングも含む協定終了の合意となる。したがってキッズチャレンジだけでなく、アメージングも区のグランドを優先利用する協定の相手先とはなりない。
ところが区は、子ども達に影響があるとして、アメージングと協定を締結せず、4月から半年間はグランドを優先利用させるとしている。そもそも優先利用させるために協定を締結するのであって、協定なしに優先利用はあり得ない。さらには申請してもなかなか使えない他の団体との公平性がなくなる。
協定通りに3か月前に終了の合意をしているのであれば、双方が3か月の間に滞りなく事業を終了させる努力をするのが守るべき信義則だ。その努力をせずにアメージングは何とかしろ、区は何とかするとの裏約束をしているとしか思えない。
区長は、キッズチャレンジを設立する時の発起人に当時の副区長を派遣し、FCバルセロナに対してキッズチャレンジを心より推薦すると文書を送っている。それだけ区長は密接に、かつ積極的にかかわり、協働のパートナーと呼んでいた。協定を終了すればすべてが終わるわけではない。
3月17日の文教委員会では、4900万円で事業譲渡しただけでなく、区のグランドについてキッズチャレンジとアメージングは金銭のやり取りをしていること、その金額はわからないということが報告された。公共施設であるグランドを商品のように扱い金儲けをしている、そこまで食い物にされている実態が明らかになった。
それ以外にも、キッズチャレンジ未来は、代表の秋本氏に1597万円の貸し付けをおこなっている、赤字なのに一体何のために貸付をしたのか、返済はあったのか、明らかにされていない。23年度にあった4900万円の借金は返済されないままであり、事業譲渡したあと、どうやって返済するのか、明らかにされていない。区長が関わってきて設立した団体でありあいまいにできないはずだ。
そもそもFCバルセロナ、株式会社アメージングスポーツラボジャパンは、子どもたちのために事業やっているのではない。FCバルセロナのブランド価値を守って金儲けをするための事業をやっている、だから全国展開をしているのだ。
一般財団法人キッズチャレンジ未来は、この事業を通じて度が過ぎる高額接待を繰り返していた、だからこちらも子供たちのためではない。
協定の相手先が何をやってもものが言えない、抗議すらできない、ブランドに傷がつくといわれれば、ひきさがってしまう、そういう態度に終始しているから、最後は、今までのことは何もなかったかのように、優先利用を許可することになってしまう。
これでは、長年、葛飾区のスポーツ振興に営々と努力している他の団体との信頼関係を壊してしまうだけでなく、行政としての中立、公平、公正さを投げ捨てることになる。
区議会では、この間、与野党問わず、この問題で論戦が展開され、本日27日本会議では「バルサアカデミー葛飾校運営法人へのグラウンド優先利用に反対する決議」を全会一致で可決した。区長はこの決議を重く受け止めていかなければならない。真実を明らかにするためには、関係者の証言、関係書類の提出を迫っていくための100条委員会も必要になる。